
春です。サマータイヤはエコタイヤ(低燃費タイヤ)でいいのか?
今更聞けないエコタイヤ・低燃費タイヤって何?
売れ筋の夏タイヤの8割以上は低燃費タイヤです。
エコタイヤとか低燃費タイヤってご存知ですか。
↑ ちなみに一番の売れ筋ブランドはこちらです。
各タイヤメーカーが燃費が良くなるということをウリにしているタイヤを「エコタイヤ」と呼んでいます。
タイヤを交換することにより燃費がよくなれば、ガソリン使用量や二酸化炭素排出量などが少なくなり、
結果的にエコになるので、エコタイヤと呼んでもあながち間違いではありません。
最近は、エコタイヤに抵抗があるのか、「低燃費タイヤ」と呼ぶことも多いです。
しかし、本当に低燃費なのでしょうか。どんな原理で燃費が良くなるのでしょうか。
エコタイヤとはタイヤの転がり抵抗を少なくしたタイヤです。
普通のタイヤよりも少ないパワー(エネルギー)でタイヤが回るというわけです。
タイヤの転がり抵抗とは?
「転がり抵抗」とは、タイヤの変形や路面との摩擦で生じるエネルギー損失のことです。
そう言われてもピンとこない方にJAFMateのデータで説明します。
同じメーカーのスポーツタイヤ、標準的なタイヤ、エコタイヤの3種類を用意し、
同じ車にそれぞれを装着させて車積載車の荷台から惰性で走らせ、車が停止した距離を計測しています。
結果は以下のようでした。
(荷台の角度は15度で、3回計測の平均値)
スポーツタイヤ 37.8m
標準的なタイヤ 50.2m
エコタイヤ 57.1m
スポーツタイヤというのはグリップ力をよくするために、標準的なタイヤよりも溝が少なく、
路面に吸い付きやすいような作りになっています。グリップがいい反面、転がり抵抗は悪いタイヤとなります。
スポーツタイヤと標準的なタイヤを比べても12.4mの違いがあります。
また、標準的なタイヤとエコタイヤを比べても6.9mエコタイヤの方が前に進みました。
転がり抵抗が少ないと、少ないエネルギーでここまで車が前に進みやすくなります。
転がる=摩擦が少ないタイヤということです。それが燃費に影響しているのでしょうか。
エコタイヤはどれだけ燃費が良くなるの?
ここもJAFMateのテストデータを使用させてもらいます。
計測環境は、テストコースの高速周回路を80km/hで50km走行した値です。
結果は以下のようでした。
スポーツタイヤ 14.5km/l
標準的なタイヤ 16.7km/l
エコタイヤ 17.6km/l
スポーツタイヤはグリップ力がいい変わりに燃費を犠牲にしています。
比較対象として標準的なタイヤとエコタイヤを比べると、+0.9km/lエコタイヤの方が燃費がいい結果になっています。
約5%ほど燃費が向上しています。テストコースでこの結果ですから、渋滞路などでは感じ方は違うでしょう。
自分が始めてエコタイヤに交換した時のことをお話しますと、
まず感じたのは「アクセルを離した時でも惰性でよく走る感じがする」ということです。
確かに転がり抵抗は少なくなったと体感しました。
燃費に関しても新潟の田舎ですから渋滞も少なく、10%前後は良くなったことを記憶しています。
「使い古して磨り減った標準タイヤ」から「新品のエコタイヤ」に交換した直後は誰でも体感できると思います。
雨の日のグリップ力やブレーキ性能は大丈夫なの?
転がり抵抗が少ないということは雨の日はすべるとかブレーキで止まりにくいのではないかと心配です。
しかし、「モータージャーナリスト」誌が行ったテストでは、一般的なタイヤとそん色ないという情報が載っていました。
現在売れているエコタイヤ・低燃費タイヤには「一般社団法人・日本自動車タイヤ協会」が定める
ラベリング制度により次のような表示がされています。平成22年1月以降からですから比較的新しい基準です。
転がり抵抗性能とウェットグリップ性能の両性能をグレーディングシステム(等級制度)に基づく表示を行い、情報提供を段階的に開始します。
転がり抵抗性能の等級がA以上で、ウェットグリップ性能の等級がa~dの範囲内にあるタイヤを「低燃費タイヤ」と定義し、統一マーク(右記)を表記して普及促進を図る。
転がり抵抗が少なくてウエットグリップ性能がいいタイヤを選ぶべき
雨の多い日本の気候では「ウエットグリップ性能」は無視できません。
↑例えばこちらの表示ラベルは低燃費タイヤであるAの判定ですが
ウエット性能もbグレードありますから、燃費と雨天時の安全性を兼ね備えたタイヤと判断できます。
エコタイヤ・低燃費タイヤのデメリットは?
省燃費タイヤを選ぶ際、注意してほしいのは、乗り心地が悪くなるケースがある、ということです。
エコタイヤは、転がり抵抗を抑えるために、タイヤのたわみ量を極力抑えています。
そのため、もともと乗り心地優先のタイヤがついていた車種だと、乗り心地が悪くなる可能性があります。
どんな車にエコタイヤ・低燃費タイヤを付けるべきなの?
最新のエコカーなどはすでに転がり抵抗の少ないタイヤを標準で装着しているものもあります。
5年から6~7年以上前の車種で「まだタイヤ交換したことが無い車」にはお勧めです。
間違いなく低燃費効果を確認できるでしょう。
最新車種で都内の渋滞路がほとんどという方はあまり「燃費」効果を感じられないかと思います。